中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁規則
(中国国際貿易促進委員会/中国国際商会 2014年11月4日改正?採択 2015年1月1日施行)
第一章 総 則
第一条 仲裁委員会
(一)中国国際経済貿易仲裁委員会(以下「仲裁委員会」という)は、旧名称を中国国際貿易促進委員会対外貿易仲裁委員会、その後の名称を中国国際貿易促進委員会対外経済貿易仲裁委員会といい、同時に、「中国国際商会仲裁院」の名称を使用する。
(二)当事者が、仲裁合意において、中国国際貿易促進委員会/中国国際商会により仲裁することとした場合、若しくは中国国際貿易促進委員会/中国国際商会の仲裁委員会若しくは仲裁院により仲裁することとした場合、又は仲裁委員会の旧名称を使用して仲裁機関とする場合のいずれも、中国国際経済貿易仲裁委員会により仲裁することに同意したものとみなす。
第二条 機構及び職責
(一)仲裁委員会主任は、本規則が付与する職責を履行する。副主任は、主任の授権に基づき、主任の職責を履行することができる。
(二)仲裁委員会は、仲裁院を設置し、授権された副主任と仲裁院院長の指導の下で、本規則に定められた職責を履行する。
(三)仲裁委員会は北京に設置する。仲裁委員会は分会又は仲裁センターを設置する(本規則の付録一)。仲裁委員会の分会/仲裁センターは仲裁委員会の派出機構であり、仲裁委員会の授権に基づき、仲裁の申立てを受理し、仲裁事件を管理する。
(四)分会/仲裁センターは、仲裁院を設置し、分会/仲裁センター仲裁院院長の指導の下で、仲裁委員会仲裁院が履行することが本規則により定められている職責を履行する。
(五)分会/仲裁センターが事件を管理する場合、仲裁委員会仲裁院院長が履行することが本規則により定められている職責においては、仲裁委員会仲裁院院長の授権に基づき、分会/仲裁センター仲裁院院長が履行する。
(六)当事者は、その紛争を、仲裁委員会又は仲裁委員会分会/仲裁センターによる仲裁に付託することを約束することができる。仲裁委員会が仲裁することを約束した場合、仲裁委員会仲裁院は仲裁申立てを受け入れ、かつ、事件を管理する。分会/仲裁センターが仲裁することを約束した場合、その分会/仲裁センターの仲裁院が仲裁申立てを受理し、かつ、事件を管理する。約束された分会/仲裁センターが存在しない、若しくはその権限が打ち切られている場合、又は約束が不明確である場合においては、仲裁委員会仲裁院が仲裁申立てを受理し、かつ事件を管理する。争いのある場合は、仲裁委員会が決定をする。
第三条 事件受理の範囲
(一)仲裁委員会は、当事者の約束に基づいて、契約性又は、非契約性の経済貿易等の紛争事件を受理する。
(二)前項の紛争事件には以下の事件が含まれる。
1、国際又は渉外紛争事件;
2、香港特別行政区、マカオ特別行政区及び台湾地区にかかわる紛争事件;
3、国内紛争事件。
第四条 規則の適用
(一)本規則は、仲裁委員会及びその分会/仲裁センターに一統一して適用される。
(二)当事者は、紛争を仲裁委員会による仲裁に付託する旨を約束した場合、本規則に従い仲裁をすることに同意したものとみなす。
(三)当事者が、紛争を仲裁委員会による仲裁に付託するけれども、本規則の内容に関して変更をすることに約束し、又は他の仲裁規則を適用することに約束した場合、当該約束に従う。ただし、当該約束が実施できない場合、又は仲裁手続の準拠法の強制規定と抵触する場合はこの限りではない。当事者が他の仲裁規則を適用することに約束した場合、仲裁委員会は、その相応する管理職責を履行する。
(四)当事者が、本規則に従い仲裁をすることに約束したが、仲裁機構について約束をしていない場合、紛争を仲裁委員会による仲裁に付託することに同意したものとみなす。
(五)当事者は仲裁委員会が制定した専門仲裁規則を適用することに約束した場合、当該約束に従う。ただし、対象となる紛争が当該専門仲裁規則の適用範囲に該当しない場合は、本規則を適用する。
第五条 仲裁合意
(一)仲裁合意とは、当事者が契約において明確に定める仲裁条項又はその他の方式で締結した仲裁に付託する旨の書面による合意を指す。
(二)仲裁合意は書面形式を採用しなければならない。書面形式には、契約書、書簡、電報、テレックス、ファクシミリ、電子データの交換及び電子メール等の内容を有形的に表現できる形式が含まれる。仲裁申立書及び仲裁答弁書の交換において、一方の当事者が仲裁合意の存在を主張し、他方の当事者がこれを否認することを表明しない場合、書面による仲裁合意が存在するものとみなす。
(三)仲裁合意の準拠法において、仲裁合意の形式及び効力について別段の定めた規定がある場合は、その規定に従う。
(四)契約に規定された仲裁条項は、契約のその他の条項と分離及び独立して存在する条項であるとみなさなければならない、契約に付属する仲裁合意も、契約中のその他の条項と分離及び独立して存在する一部分であるとみなさなければならない。契約の変更、解除、終了、譲渡、失効、無効、効力の未発生、取消し及び成立の有無は、仲裁条項又は仲裁合意の効力に一切影響を及ぼさない。
第六条 仲裁合意及び/又は管轄権に対する異議
(一)仲裁委員会は、仲裁合意の存在、効力及び仲裁事件の管轄権につき決定する権限を有する。必要がある場合には、仲裁委員会は仲裁廷に授権をして管轄権につき決定をさせることもできる。
(二)仲裁委員会が、一応の証拠に基づき、有効な仲裁合意が存在すると認めた場合、この一応の証拠に基づき、仲裁委員会が管轄権を有するという決定をし、仲裁手続を続行することができる。仲裁委員会が、一応の証拠に基づいて出した管轄権についての決定は、仲裁廷が、審理の過程で発見した一応の証拠と一致しない事実及び/又は証拠に基づき、新たに管轄権の決定をすることを妨げるものではない。
(三)仲裁廷は、仲裁委員会の授権に基づいて管轄権について決定をする場合、この決定を、仲裁手続の進行中に単独して下すことができ、また仲裁判断書において一括して下すこともできる。
(四)仲裁合意及び/又は仲裁事件の管轄権に関する当事者からの異議は、仲裁廷による第1回開廷前に書面により提出されなければならない。書面審理の事件の場合、かかる異議は本案についての最初の実質的な答弁の前に提出されなければならない。
(五)仲裁合意及び/又は仲裁事件の管轄権に対する異議の提出は、仲裁手続の続行に影響を及ぼさない。
(六)上述の管轄権の異議及び/又は決定には、仲裁事件の主体資格についての異議及び/又は決定を含む。
(七)仲裁委員会又は仲裁委員会により授権された仲裁廷は、管轄権を有しないとの決定を下した場合、事件を取り消す決定をしなければならない。取り消す決定は、仲裁廷の構成前においては、仲裁委員会仲裁院院長が行い、仲裁廷の構成後においては、仲裁廷が行う。
第七条 仲裁地
(一)当事者が仲裁地を約束した場合、当該約束に従う。
(二)当事者が仲裁地を約束していない、又は約束が不明確である場合は、事件を管理する仲裁委員会又はその分会/仲裁センターの所在地を仲裁地とする。仲裁委員会は、事件の具体的な状況に応じてその他の地を仲裁地として定めることもできる。
(三)仲裁判断は仲裁地において下されたものとみなす。
第八条 送達及び期限
(一)仲裁に関する一切の文書、通知及び資料等は、手渡し、書留郵便、EMS、ファクシミリ又は仲裁委員会仲裁院若しくは仲裁廷が適当と認めるその他の方式を採用して送付することができる。
(二)上記の第(一)項に定められた仲裁文書は、当事者若しくはその仲裁代理人が自ら提供した宛先又は当事者が約束した宛先に送付しなければならない。当事者若しくはその仲裁代理人が宛先を提供しない又は当事者が宛先を約束していない場合、他方の当事者又はその仲裁代理人が提供した宛先に従って送付する。
(三)一方の当事者又はその仲裁代理人に対して送付する仲裁文書は、受取人に手渡されたとき、若しくは受取人の営業所、登録地、住所、常居所又は通信先住所に送付されたとき、又は他方の当事者が合理的な調査を経ても前記のいずれの場所も探し出すことができない場合は、仲裁委員会仲裁院が書留郵便、EMS 又は配達記録を提供できる公証送達、委託送達、留置送達が含まれるその他のいずれかの手段によって、受取人の最後の知れた営業所、登録地、住所、常居所又は通信先住所に配達されたときに、有効に送達されたものとみなす。
(四)本規則が定める期限は、仲裁委員会仲裁院が当事者に対して送付した文書、通知及び資料等を当事者が受領した日、又は受領したはずの日の翌日から計算しなければならない。
第九条 誠実信用
仲裁参与者は誠実信用の原則に従い、仲裁手続を進めなければならない。
第十条 異議の放棄
一方の当事者が、本規則又は仲裁合意に定められたいずれかの条項又は事情が遵守されていないことを知り、又は当然に知り得るべきであるにもかかわらず、仲裁手続に参加し、又は仲裁手続を引き続き行い、かつ遵守されていない状況に対して速やかに、かつ、明示的に書面により異議を提出しない場合は、当該当事者は、その異議提出の権利を放棄したものとみなす。
第二章 仲裁手続
第一節 仲裁申立て、答弁、反対請求
第十一条 仲裁手続の開始
仲裁手続は、仲裁委員会仲裁院が仲裁申立書を受領した日から開始する。
第十二条 仲裁の申立て
当事者が本規則に従って仲裁の申立てをする場合には、
(一)申立人又は申立人が授権した代理人が署名及び/又は押印した仲裁申立書を提出しなければならない。仲裁申立書には、次に掲げる事項を明記しなければならない。
1、申立人及び被申立人の名称及び住所(郵便番号、電話、ファクシミリ及び電子メール又はその他の電子通信方式を含む。)
2、仲裁申立ての根拠となる仲裁合意
3、事件の内容及び紛争の要点
4、申立人の仲裁請求
5、仲裁請求の根拠となる事実及び理由
(二)仲裁申立書を提出する場合には、申立人の請求の根拠となる証拠資料及びその他の証明文書を添付する。
(三)仲裁委員会が制定する仲裁費用表の規定に従って、仲裁費用を予納する。
第十三条 事件の受理
(一)仲裁委員会は、紛争が発生する前又は紛争が発生した後に当事者が締結した、紛争を仲裁委員会による仲裁に付託する旨の仲裁合意及び一方の当事者の書面による申立てに従って、事件を受理する。
(二)仲裁委員会仲裁院は、申立人の仲裁申立書及びその付属文書を受領した後、審査を経て、仲裁申立ての手続が完全であると認めた場合、仲裁通知、仲裁委員会の仲裁規則及び仲裁人名簿各1通を双方当事者に送付しなければならない。申立人の仲裁申立書及びその付属文書も、同時に被申立人に送付しなければならない。
(三)仲裁委員会仲裁院は、審査を経て、仲裁申立ての手続が不完全であると認めた場合、申立人に一定の期限内に完全させるよう要求することができる。申立人が、所定の期限内に仲裁申立ての手続を完全することができない場合、申立人が仲裁申立てをしなかったものとみなす。仲裁委員会仲裁院は、申立人の仲裁申立書及びその付属文書を留め置かない。
(四)仲裁委員会が事件を受理した後、仲裁委員会仲裁院は、仲裁事件の手続の管理業務に協力する事件事務員 1 名を指定しなければならない。
第十四条 複数の契約の仲裁
申立人は複数の契約に係わる紛争について、同一の仲裁事件に併合して仲裁申立をすることができる。ただし、下記の要件を同時に満たさなければならない。
1、複数契約が主たる契約と従たる契約の関係であること。又は複数の契約に関係する当事者は同一で、かつその法律関係の性質も同一である。
2、紛争は同一取引又は同一の系列の取引から発生している。
3、複数契約の仲裁合意の内容が同一であるか、又は相互に適合的である。
第十五条 答弁
(一)被申立人は、仲裁通知を受領した後 45 日以内に答弁書を提出しなければならない。被申立人において、答弁の提出期間を延長する正当な理由が確かに存在する場合、かかる申立てに対し、仲裁廷は、答弁期間を延長するか否かを決定する。仲裁廷構成前においては、仲裁委員会仲裁院がかかる決定を下す。
(二)答弁書については、被申立人又は被申立人が授権した代理人が署名及び/又は押印し、かつ、次に掲げる内容及び付属文書が含まれなければならない。
1、被申立人の名称及び住所(郵便番号、電話、ファクシミリ、電子メール又はその他の電子通信方式を含む。)
2、仲裁申立書に対する答弁及びその根拠となる事実及び理由
3、答弁の根拠となる証拠資料及びその他の証明文書
(三)仲裁廷は、提出期限を過ぎた答弁書を受領するか否かを決定する権限を有する。
(四)被申立人が答弁書を提出しないことは、仲裁手続の進行に影響を及ぼさない。
第十六条 反対請求
(一)被申立人は、反対請求のある場合、仲裁通知を受領した後 45 日以内に書面により提出しなければならない。被申立人が、正当な理由があることが確実な状況で反対請求を提出期限を延長することを請求した場合、仲裁廷は、反対請求申立期限を延長するか否かを決定する。仲裁廷構成前においては、仲裁委員会仲裁院がかかる決定を下す。
(二)被申立人は、反対請求を提出する際、その反対請求の申立書に、具体的な反対請求事項、その他の根拠となる事実及び理由を明記し、かつ、関連する証拠資料及びその他の証明文書を添付しなければならない。
(三)被申立人は、反対請求を提出する場合、仲裁委員会の制定する仲裁費用表に従って、所定の期間内に仲裁費用を予納しなければならない。被申立人が、所定の期間内に反対請求の仲裁費用を納付しない場合、反対請求の申立てを提出しなかったものとみなす。
(四)仲裁委員会仲裁院は、被申立人の反対請求の手続が完全であると認めた場合、双方当事者に対して反対請求の受理通知を送付しなければならない。申立人は、反対請求の受理通知を受領した後 30 日以内に、被申立人に対し、反対請求に対する答弁を提出しなければならない。申立人が、正当な理由が確実に存在する状況において答弁を提出する期限を延長することを提出する場合、仲裁廷は、答弁の期限を延長するか否かを決定する。仲裁廷の構成前においては、仲裁委員会仲裁院がかかる決定を下す。
(五)仲裁廷は、提出期限を過ぎた反対請求と反対請求の申立書を受領するか否かを決定する権限を有する。
(六)申立人が、被申立人の反対請求に対して書面による答弁をしないことは、仲裁手続の進行に影響を及ぼさない。
第十七条 仲裁申立て又は反対請求の変更
申立人は、その仲裁請求につき変更の申立てをすることができ、被申立人も、その反対請求につき変更の申立てをすることができる。ただし、仲裁廷が、その変更提出の時期が過度に遅く、仲裁手続の正常な進行に影響を及ぼすと認める場合、その変更請求を拒否することができる。
第十八条 当事者の追加
(一)仲裁手続中において、一方の当事者は表面上被追加当事者に拘束力のある事件にかかわる仲裁合意に基づいて、仲裁委員会に当事者の追加を申し立てることができる。仲裁廷の構成後に追加当事者の追加を申し立て、仲裁廷が確かに必要があると認めた場合、追加対象の当事者を含む各当事者の意見を求めた後、仲裁委員会が決定を下しなければならない。
仲裁委員会仲裁院が当事者追加の申立てを受領した日を、当該追加対象の当事者に対する仲裁の開始の日とみなす。
(二)当事者追加申立書には、現行の仲裁事件の事件番号、追加対象の当事者を含む全当事者の名称、住所及び通信方式、当事者追加の根拠となる仲裁合意、事実及び理由、並びに仲裁請求を明記しなければならない。
当事者は当事者追加の申立書を提出する際には、その申立ての根拠となる証拠資料及びその他の証明文書を添付しなければならない。
(三)いずれか一方の当事者が当事者追加の手続について仲裁合意及び/又は仲裁事件の管轄権に対する異議を提出した場合、仲裁委員会は仲裁合意及び関連する証拠に基づき管轄権を有するか否かを決定する権限を有する。
(四)当事者追加の手続が開始された後、仲裁廷の構成前においては、仲裁委員会仲裁院が仲裁手続の進行について決定する。仲裁廷の構成後においては、仲裁廷が仲裁手続の進行について決定する。
(五)仲裁廷の構成前に当事者を追加する場合、当事者が仲裁人を選任する又は仲裁委員会主任に指定を委任する関連本規則の規定は追加対象の当事者に適用される。仲裁廷は本規則の第二十九条の規定に従い構成されなければならない。
仲裁廷が構成後に当事者の追加を決定した場合、仲裁廷は既に仲裁廷構成が含まれる仲裁手続について追加対象の当事者の意見を求めなければならない。追加対象の当事者が仲裁人を選任すること又は仲裁委員会主任に委任して指定することをや要求した場合、双方の当事者は仲裁人を新たに選任し、又は仲裁委員会主任に委任して指定させなければならない。仲裁廷は本規則の第二十九条の規定に従い構成されなければならない。
(六)当事者が答弁及び反対請求を提出する関連の本規則の規定は追加対象の当事者に適用される。追加対象の当事者が答弁及び反対請求を提出する期限は当事者の追加にかかる仲裁通知を受領した後から起算する。
(七)事件に係わる仲裁合意が追加対象の当事者に表面上拘束力することができない場合、又はその他の当事者の追加が適当でないその他の何らかの事由が存在する場合、仲裁委員会は追加しないことを決定する権限を有する。
第十九条 仲裁の併合
(一)下記いずれかの要件を満たせば、一方の当事者の請求を経て、仲裁委員会は、本規則に従って行われる 2 つ以上(2 つを含む)の仲裁事件を1 つの事件に併合して審理を決定することができる。
1、各事件の仲裁請求は同一仲裁合意に基づいて提出されているとき。
2、各事件の仲裁請求は複数の仲裁合意に基づいて提出されているが、当該複数の仲裁合意が内容が同一であるか、又は相互に適合的であって、かつ各事件の当事者が同一で、各紛争がかかわる法律関係の性質が同一であるとき。
3、各事件の仲裁請求は複数の仲裁合意に基づいている提出されているが、当該複数の仲裁合意は内容が同一であるか、又は相互に適合的であって、かつ関係する複数契約は主たる契約と従たる契約の関係であるとき。
4、各事件の全当事者は仲裁の併合にいずれも同意するとき。
(二)上記の第(一)項に基づいて仲裁の併合を決定する際には、仲裁委員会は、各当事者の意見及び関連する仲裁事件の間の関連性等の要因を考慮しなければならない。当該関連性には異なる事件の仲裁人の選任又は指定の状況が含まれる。
(三)各当事者間に別段の合意がある場合を除き、併合される仲裁事件は、最初に仲裁手続が開始された仲裁事件に併合されなければならない。
(四)仲裁事件が併合された後、仲裁廷の構成前においては、仲裁委員会仲裁院が手続きの進行について決定する。仲裁廷の構成後においては、仲裁廷が手続きの進行について決定する。
第二十条 仲裁文書の提出及び交換
(一)当事者の仲裁文書は仲裁委員会仲裁院に提出されなければならない。
(二)仲裁手続中に送付又は転送する必要のある仲裁文書は、仲裁委員会仲裁院が仲裁廷及び当事者に送付又は転送する。ただし、当事者間に別段の合意があり、かつ仲裁廷の同意を得た場合、又は仲裁廷の別段の決定がある場合はこの限りではない。
第二十一条 仲裁文書の提出部数
当事者は、仲裁申立書、答弁書、反対請求書、証拠資料、その他の仲裁文書は一式 5 部を提出しなければならない。多数当事者に関与する事件の場合、それに相応する部数を追加しなければならない。当事者が財産保全又は証拠保全の申立てを行う場合、それに相応する部数を追加しなければならない。仲裁廷の構成人数が 1 名である場合、それに2 部を相応して減らさなければならない。
第二十二条 仲裁代理人
当事者は、中国及び/又は外国の仲裁代理人に授権し、仲裁に関する事項を処理させることができる。当事者又はその仲裁代理人は、仲裁委員会仲裁院に授権委任状を提出しなければならない。
第二十三条 保全及び暫定措置
(一)当事者が、中国の法律の規定に従って保全の申立てをする場合、仲裁委員会は、法律に基づき、当事者の保全の申立てを、当事者が指定した管轄権を有する人民法院に転送しなければならない。
(二)準拠法又は当事者間の約束に基づき、当事者は「中国国際経済貿易仲裁委員会緊急仲裁人手続」(本規則の付属文書三)により、仲裁委員会仲裁院に緊急の暫定的救済を申し立てることができる。緊急仲裁人は必要又は適当な緊急的暫定的救済措置を取ることを決定することができる。緊急仲裁人の決定は双方当事者に拘束力がある。
(三)一方の当事者の申立てを経て、仲裁廷は、準拠法又は当事者の約束に基き、必要又は適当であると認める暫定措置を取ることを決定することができ、かつ暫定措置の申立てをした一方当事者に適切な担保を提供させることを決定する権限を有する。
第二節 仲裁人及び仲裁廷
第二十四条 仲裁人の義務
仲裁人は、いずれの当事者も代表するものではなく、各当事者から独立し、各当事者を平等に扱わなければならない。
第二十五条 仲裁廷の人数
(一)仲裁廷は、仲裁人1 名又は 3 名から構成される。
(二)当事者に別段の約束がある場合、又は本規則に別段の規定がある場合を除き、仲裁廷は、3 名の仲裁人から構成される。
第二十六条 仲裁人の選任又は指定
(一)仲裁委員会は、仲裁委員会及びその分会/仲裁センターに一統一に適用する仲裁人名簿を制定する。当事者は、仲裁委員会が制定した仲裁人名簿の中から、仲裁人を選任する。
(二)当事者間において、仲裁委員会の仲裁人名簿外から仲裁人を選任するという約束がある場合、当事者が選任した、又は当事者間の約束に基き指定された者は、仲裁委員会主任が確認を得た後に、仲裁人を担当することができる。
第二十七条 3人仲裁廷の構成
(一)申立人及び被申立人は、仲裁通知を受領した後 15 日以内に、それぞれ仲裁人を1 名ずつ選任し、又は仲裁委員会主任に委任して指定させなければならない。当事者が上記期間内に選任をしない場合、又は仲裁委員会主任に委任して指定させない場合、仲裁委員会主任が仲裁人を指定する。
(二)第三の仲裁人は、被申立人が仲裁通知を受領した後 15 日以内に双方の当事者が共同で選任し、又は共同で仲裁委員会主任に委任して指定させる。第三の仲裁人は仲裁廷の首席仲裁人となる。
(三)双方の当事者は、それぞれ 1 名ないし 5 名ずつ首席仲裁人人選として推薦し、かつ上記の第(二)項の規定する期間に従って推薦名簿を提出することができる。双方の当事者の推薦名簿の中に同一の人選が 1 名ある場合、当該人選を、双方の当事者が共同で選任した首席仲裁人とする。同一の人選が 1 名以上ある場合、仲裁委員会主任が、事件の具体的な状況に基づいて同一の人選の中から 1 名の首席仲裁人を確定し、当該首席仲裁人を双方の当事者が共同で選任した首席仲裁人とする。推薦名簿の中に同一の人選がない場合、仲裁委員会主任が首席仲裁人を指定する。
(四)双方の当事者が、上記の規定により共同で首席仲裁人を選任することができない場合、仲裁委員会主任が首席仲裁人を指定する。
第二十八条 単独仲裁廷の構成
仲裁廷が 1 名の仲裁人により構成される場合、本規則の第二十七条第(二)、(三)、(四)項に規定する手続に従い、当該単独仲裁人を選任又は指定する。
第二十九条 多数当事者の仲裁廷の構成
(一)2 名以上(2を含む)の申立人及び/又は被申立人が当事者となっている仲裁事件においては、申立人側及び/又は被申立人側は、それぞれ協議をし、各側共同で1名の仲裁人を選任し、又は共同で仲裁委員会主任に1名の仲裁人の指定を委任する。
(二)首席仲裁人又は単独仲裁人は、本規則第二十七条の第(二)、(三)、(四)項に規定する手続に従い、選任又は指定されなければならない。申立人側及び/又は被申立人側は、本規則の第二十七条第(三)項の規定に従い、首席仲裁人又は単独仲裁人を選任する場合には、、各側共同で協議し、各側が共同で選定した候補者名簿を提出しなければならない。
(三)申立人側及び/又は被申立人側が仲裁通知を受領した後 15 日以内に各側共同で仲裁人1名を選任することができない場合、又は各側共同で仲裁委員会主任に1名の仲裁人の指定を委任することができない場合、仲裁委員会主任が仲裁廷の 3 名の仲裁人を指定し、かつその 3 名の仲裁人の中から首席仲裁人を担任させる。
第三十条 仲裁人を指定する際の考慮する要素
仲裁委員会主任は、本規則の規定に基き仲裁人を指定する際には、紛争にかかる準拠法、仲裁地、仲裁言語、当事者の国籍及び仲裁委員会主任が考慮すべきであるその他の要素を考慮しなければならない。
第三十一条 開示
(一)選任又は指定された仲裁人は、声明書に署名をし、その公正性及び独立性に合理的な疑いを生じさせるおそれのあるあらゆる事実又は状況を開示しなければならない。
(二)仲裁手続中に開示すべき事由が生じた場合、仲裁人は、直ちに書面により開示しなければならない。
(三)仲裁人の声明書及び/又は開示した情報は仲裁委員会仲裁院に提出され、かつ各当事者に転送されなければならない。
第三十二条 仲裁人の忌避
(一)当事者は、仲裁人の声明書及び/又は書面開示を受領した後、仲裁人が開示された事実又は状況を理由として当該仲裁人の忌避を要求する場合、仲裁人の書面開示を受領した後 10 日以内に、書面により提出しなければならない。期間を過ぎても忌避を提出しない場合、仲裁人が既に開示した事項を理由として、当該仲裁人の忌避を提出することができない。
(二)当事者は、選任又は指定された仲裁人の公正性及び独立性について正当な理由のある疑いが生じた場合、書面により当該仲裁人の忌避を要求する請求を提出することができる。ただし、忌避請求の根拠となる具体的な事実及び理由を説明し、かつ挙証しなければならない。
(三)仲裁人に対する忌避請求は、仲裁廷構成の通知を受領した後 15 日以内に、書面により提出しなければならない。その期間を過ぎた後に、忌避事由があることを知った場合は、忌避事由を知った後 15 日以内に提出することができる。ただし、最後の開廷期日の終結に遅れることはできない。
(四)当事者の忌避請求は、直ちに、他方の当事者、忌避を請求された仲裁人及び仲裁廷のその他の構成員に転送されなければならない。
(五)一方の当事者が仲裁人の忌避を請求した場合には、他方の当事者が忌避の請求に同意を得たとき、又は忌避を請求された仲裁人が当該仲裁事件の仲裁人を担当しないことを自ら申請した場合は、当該仲裁人は仲裁人を担当して当該事件を審理することはない。上記の事由は、当事者の忌避を提出する理由が成立したことを示すものではない。
(六)上記の第(五)項に規定する事由を除き、仲裁人を忌避するか否かは、仲裁委員会主任が終局的に決定し、かつ理由を説明しないことができる。
(七)仲裁委員会主任が仲裁人を忌避するか否かを決定するまでは、忌避を請求された仲裁人は、職責を引き続きて履行しなければならない。
第三十三条 仲裁人の交代
(一)仲裁人が、法律上又は事実上その職責を履行できない場合、又は本規則の要求に従い若しくは本規則に規定された期間内に、尽くすべき職責を履行しない場合、仲裁委員会主任は、当該仲裁人の交替を決定する権限を有する。当該仲裁人は、仲裁人を担当しないことを自ら申請することもできる。
(二)仲裁人を交代するか否かは、仲裁委員会主任が終局的に決定し、かつ理由を説明しないことができる。
(三)仲裁人が、忌避又は交代により職責を履行することができない場合、当該仲裁人を当初選任又は指定した方式に従い仲裁委員会仲裁院が規定した期間内に、後任の仲裁人を選任し又は指定されなければならない。当事者が、後任の仲裁人を選任又は指定しない場合、仲裁委員会主任が後任の仲裁人を指定する。
(四)仲裁人が新たに選任又は指定された後、仲裁廷は、新たに審理すか否か、及び新たに審理する範囲について決定する。
第三十四条 多数仲裁人による仲裁手続の継続
最後の開廷期日が終結した後、3 名の仲裁廷の中の1名が死亡又は除名等の状況により合議に参加及び/又は判断を下すことができない場合、他の 2 名の仲裁人は、第三十三条の規定に従い、当該仲裁人の交代を仲裁委員会主任に請求することができる。双方の当事者の意見を求め、かつ仲裁委員会主任の同意を得た後、当該仲裁人2 名は、仲裁手続を継続し、決定又は判断を下すことができる。仲裁委員会仲裁院は、上記の状況を双方の当事者に通知しなければならない。
第三節 審理
第三十五条 審理方式
(一)当事者に別段の合意がある場合を除き、仲裁廷は、適当であると認める方式に従い、事件を審理することができる。いかなる状況の下においても、仲裁廷は、公平及び公正に手続を進行し、陳述及び弁論の合理的な機会を双方の当事者に与えなければならない。
(二)仲裁廷は、開廷して事件を審理しなければならない。ただし、双方の当事者が約束し、かつ仲裁廷の同意を得た場合、又は開廷審理をする必要がないと仲裁廷が認め、かつ双方の双方の当事者の同意を得た場合、仲裁廷は、書面のみに基づき審理を行うことができる。
(三)当事者に別段の合意がある場合を除き、仲裁廷は、事件の具体的状況に基づき、審問方式又は弁論方式の開廷審理方式を採用して事件を審理することができる。
(四)仲裁廷は、適切であると認める場所で、適当であると認める方式により合議をすることができる。
(五)当事者に別段の約束がある場合を除き、仲裁廷は、必要があると認める場合には審理される事件について、手続令を出し、質問書を出し、審理範囲書を作成し、開廷事前会議等を行うことが出来る。仲裁廷のその他の構成員により授権を得た場合には、首席仲裁人は仲裁事件の手続手配について単独で決定することができる。
第三十六条 開廷地
(一)当事者が開廷地を約束した場合、仲裁事件の開廷審理は約束された場所で行われなければならない。ただし、本規則第八十二条第(三)項に規定する事由が生じた場合はこの限りではない。
(二)当事者に別段の約束がある場合を除き、仲裁委員会仲裁院又はその分会/仲裁センター仲裁院が管理する事件は、北京又は分会/仲裁センターの所在地でそれぞれ開廷審理をしなければならない。仲裁廷が必要であると認める場合、仲裁委員会仲裁院院長の同意を得て、その他の場所で開廷審理をすることもできる。
第三十七条 開廷通知
(一)開廷審理を行う事件については、仲裁廷は、第 1 回開廷期日を確定した後、開廷の 20 日前までに、双方の当事者に開廷期日を通知しなければならない。当事者は、正当な理由がある場合、開廷期日の延期を申立てることができる。ただし、開廷通知を受領した後 5 日以内に書面により延期申立てを提出しなければならない。期日を延期するか否かは、仲裁廷が決定する。
(二)当事者において、上記の第(一)項に規定する期間に従い開廷の延期申立てをすることができない正当な理由がある場合、その延期申立てを受理するか否かは仲裁廷が決定する。
(三)再びに開廷審理期日及び延期後の開廷審理期日の通知、並びにその延期申立てについては、上記の第(一)項に定める期間の制限を受けない。
第三十八条 秘密保持
(一)仲裁廷は事件審理を非公開で行う。双方の当事者が審理の公開を要求した場合、審理を公開するか否かは仲裁廷が決定する。
(二)非公開で審理を行う事件においては、双方の当事者及びその仲裁代理人、仲裁人、証人、通訳、仲裁廷が諮問する専門家及び指定する鑑定人並びにその他の関係者は、いずれも事件の実態及び手続に関連する状況を外部に漏らしてはならない。
第三十九条 当事者の欠席
(一)申立人が、正当な理由なく開廷時に出廷しない場合、又は審理開廷時に仲裁廷の許可を得ずに途中で退廷をした場合は、仲裁の申立てを取下げたものとみなすことができる。被申立人が反対請求を提出している場合、仲裁廷が反対請求につき審理を行い、かつ判断を下すことに影響を及ぼさない。
(二)被申立人が、正当な理由なく開廷時に出廷しない場合、又は審理開廷時に仲裁廷の許可を得ずに途中で退廷をした場合、仲裁廷は、被申立人欠席の審理を行い、かつ判断を下すことができる。被申立人が反対請求を提出している場合は、反対請求を取下げたものとみなすことができる。
第四十条 開廷審理の記録
(一)開廷審理を行う際、仲裁廷は、開廷審理の記録及び/又は録音?録画記録を作成することができる。仲裁廷は、必要があると認めるときは、開廷審理の要点を作成し、かつ当事者及び/又はその代理人、証人及び/又はその他の関係者に対して、開廷審理の記録又は開廷審理の要点に署名又は押印することを要求することができる。
(二)開廷審理の記録、開廷審理の要点及び録音?録画記録は、仲裁廷に調査の用に供される。
(三)一方当事者の申立てに応じて、仲裁委員会仲裁院は事件の具体的状況に鑑みて速記者を招聘して開廷審理の記録を速記させることを決定することができる。これにより生ずる費用を当事者が予納しなければならない。
第四十一条 挙証
(一)当事者は、その申立て、答弁及び反対請求につき、根拠となる事実について証拠を提出し、かかる事実を証明しなければならない。また、その主張、弁論及び抗弁の要点につき、根拠を提出しなければならない。
(二)仲裁廷は、当事者の証拠提出期限を定めることができる。当事者は、所定の期限までに証拠を提出しなければならない。期限を過ぎてから提出された証拠については、仲裁廷はこれを受理しないことができる。当事者は、挙証期限内に証拠資料を提出することが確かに困難である場合、期限が満了前に、挙証期限の延長を申請することができる。期限を延長するか否かは、仲裁廷が決定する。
(三)当事者が所定の期限までに証拠を提出することができない場合、又は証拠を提出したがその主張を証明するには足りない場合、挙証責任を負う当事者は、それにより生じる不利な結果を負う。
第四十二条 質証
(一)開廷審理を行う事件においては、開廷時に証拠を提示しなければならず、当事者が証拠に対する質疑をすることができる。
(二)書面により審理される事件の証拠資料に対して、又は開廷後に提出された証拠資料に対して、かつ当事者が書面により質疑をすることに同意した場合には、当事者は、書面によって証拠に対する質疑をすることができる。書面によって証拠に対する質疑をする場合、当事者は、仲裁廷が定めた期限までに書面により質疑についての意見を提出しなければならない。
第四十三条 仲裁廷の職権調査
(一)仲裁廷は、必要であると認めるときは、事実を調査し、証拠を収集することができる。
(二)仲裁廷が事実を調査し、証拠を収集する場合には、当事者に立会いをするよう通知をすることができる。通知を経て、一方又は双方の当事者が立ち会わないことは、仲裁廷が事実を調査し、及び証拠を収集することに影響を及ぼさない。
(三)仲裁廷が調査して収集した証拠については、当事者に転送して、意見を提出する機会を当事者に与えなければならない。
第四十四条 専門家報告及び鑑定報告
(一)仲裁廷は、事件における専門的な問題について、専門家に諮問し又は鑑定人を指定して鑑定させることができる。専門家及び鑑定人は、中国又は外国の機関又は自然人であることができる。
(二)仲裁廷は、当事者に対し、専門家及び鑑定人による審査、閲覧、検査、又は鑑定に供するため、何らかの関係資料、文書、財産又は現物を専門家又は鑑定人に提供又は開示することを要求する権限を有し、当事者も当該義務を負う。
(三)専門家報告及び鑑定報告の副本は、当事者に転送したうえで、当事者が意見を提出する機会を与えなければならない。一方の当事者が、専門家又は鑑定人に対して開廷に参加することを要求する場合、仲裁廷の同意を経て、専門家又は鑑定人は開廷に参加しなければならず、かつ仲裁廷が必要があると認める場合には、作成した報告について説明をしなければならない。
第四十五条 手続停止
(一)双方の当事者が共同で又は別々で仲裁手続を停止するよう請求をした場合、又はその他仲裁手続を停止することが必要な事由が生じた場合、仲裁手続を停止することができる。
(二)手続停止の原因が消滅した後、又は手続停止の期限が満了した後、仲裁手続は再開される。
(三)仲裁手続の停止及び再開については、仲裁廷が決定する。仲裁廷が構成前においては、仲裁委員会仲裁院院長が決定する。
第四十六条 申立の取下げと事件の取消し
(一)当事者は、全ての仲裁請求又は全ての仲裁反対請求を取下げることができる。申立人が全ての仲裁請求を取下げることは、仲裁廷が被申立人の反対請求について審理及び判断を行うことに影響を及ぼさない。被申立人が全ての仲裁反対請求を取下げることは、仲裁廷が申立人の仲裁請求について審理及び判断を行うことに影響を及ぼさない。
(二)当事者自身の原因により仲裁手続を進行することができない場合、当該当事者が仲裁請求を取下げがあったものとみなすことができる。
(三)全ての仲裁請求及び反対請求が取下げられた場合、事件は取消すことができる。仲裁廷が構成前に事件の取消しをする場合、仲裁委員会仲裁院院長がその取消しについての決定を下す。仲裁廷が構成後、事件の取消しをする場合、仲裁廷が取消しについての決定を下す。
(四)上記の第(三)項及び本規則第六条第(七)項に規定する事件の取消しの決定には、「中国国際経済貿易仲裁委員会」の印章を押捺しなければならない。
第四十七条 仲裁と調停の結合
(一)双方の当事者が調停の意思がある場合、又は一方の当事者が調停の意思があり、かつ仲裁廷を通じて他方の当事者の同意を得た場合、仲裁廷は、仲裁手続進行中において、事件について調停を行うことができる。双方の当事者が自ら和解をすることもできる。
(二)仲裁廷は、双方の当事者の同意を得た後、適当であると認める方式に従って調停を行うことができる。
(三)調停を行う過程において、一方の当事者が調停を終了させる旨を提出した場合、又は仲裁廷が調停を続けても和解成功の可能性がないと認める場合に、仲裁廷は調停を終了しなければならない。
(四)仲裁廷による調停を通じて和解が成立した場合、又は双方の当事者が自ら和解をした場合、双方の当事者は和解合意を締結しなければならない。
(五)調停を通じて又は当事者自ら和解合意が成立した場合、当事者は、仲裁請求又は反対請求を取り下げることができる。当事者は、当事者間の和解合意の内容に基づく仲裁判断書又は調停書を作成するよう仲裁廷に対し請求することもできる。
(六)当事者が調停書の作成を請求した場合、調停書には、仲裁請求の内容及び当事者間の書面による和解合意の内容を明記しなければならず、またこの調停書に仲裁人が署名し、かつ「中国国際経済貿易仲裁委員会」の印章を押捺して双方の当事者に送達されなければならない。
(七)調停が不成功の場合、仲裁廷は、仲裁手続を継続し、かつ、仲裁判断を下さなければならない。
(八)当事者は調停の意思があるものの、仲裁廷の下で調停をすることが望ましくない場合、双方の当事者の同意を得て、仲裁委員会は、適当な方式及び手続によって当事者が調停を行うことを協力することができる。
(九)調停が不成功の場合、いずれの一方の当事者も、その後の仲裁手続、司法手続及びその他の何らんかの手続においても、相手方の当事者又は仲裁廷が調停の過程において表明した意見、述べた見解、提出した陳述、又は同意若しくは否定の意見若しくは主張を援用して、その請求、答弁又は反対請求の根拠とすることはできない。
(十)当事者は、仲裁手続開始の前に、自らの交渉により又は調停を通じて和解合意を締結した場合、仲裁委員会による仲裁にかかるの仲裁合意及び和解合意を根拠として、仲裁廷を構成し、和解合意の内容に基づいて仲裁判断を下すよう仲裁委員会に請求することができる。当事者に別段の約束がある場合を除き、仲裁委員会主任は 1 名の単独仲裁人を指定して仲裁廷を構成し、仲裁廷は、適当であると認める手続に従って審理を行い、かつ仲裁判断を下すこととする。具体的な手続及び期限については、本規則のその他の条項に定められた手続及び期限に関する制限を受けない。
第三章 仲裁判断
第四十八条 仲裁判断をする期限
(一)仲裁廷は、仲裁廷構成後6ヶ月以内に、判断書を作成しなければならない。
(二)仲裁廷の請求を経て、仲裁委員会仲裁院院長が正当な理由及び必要性が確実に存在すると認める場合、当該期限を延長することができる。
(三)手続停止の期間は上記の第(一)項に規定する判断期限に算入しない。
第四十九条 仲裁判断の作成
(一)仲裁廷は、事実及び契約上の合意に基づき、法律規定により、国際慣例を参考にしながら、公平かつ合理的に、独立かつ公正に判断を作成しなければならない。
(二)当事者が事件の実体に準拠法について約束した場合、当該約束に従う。当事者に約束しない場合、又はその約束が法律の強行法規と抵触する場合、仲裁廷は事件の実体の準拠法を決定する。
(三)仲裁廷は、その仲裁判断書において、仲裁請求、紛争にかかる事実、判断理由、判断結果、仲裁費用の負担、並びに判断の期日及び場所を明記しなければならない。当事者の合意により、紛争にかかる事実及び判断理由を明記しないこととした場合、又は双方の当事者の和解合意の内容に基づき判断書を作成する場合、紛争にかかる事実及び判断理由を明記しないことができる。仲裁廷は、判断書において、当事者が判断を履行する具体的な期限及び時期を過ぎして履行する場合に負うべき責任について確定する権限を有する。
(四)判断書には「中国国際経済貿易仲裁委員会」の印章を押捺しなければならない。
(五)3 名の仲裁人で構成される仲裁廷により審理される事件においては、全仲裁人又は多数の仲裁人の意見に基づいて仲裁判断を作成する。書面による仲裁人の少数意見については、添付書類としなければならず、かつ判断書の末尾に添付することができる。当該書面による意見は、判断書の一部を構成しない。
(六)仲裁廷が多数意見を形成することができない場合、仲裁判断は、首席仲裁人の意見に基づいて作成される。その他の仲裁人の書面による意見についは、添付書類としなければならず、かつ判断書の末尾に添付することができる。当該書面による意見は、判断書の一部を構成しない。
(七)首席仲裁人の意見又は単独仲裁人の意見に基づき判断を作成し、かつその署名をする場合を除き、仲裁判断書は、多数仲裁人により署名されなければならない。異なる意見を持つ仲裁人は、判断書に署名することもでき、署名しないこともできる。
(八)仲裁判断書が作成された日は、仲裁判断の法的効力が発生する日とする。
(九)仲裁判断は、終局的なものであり、双方の当事者のいずれに対しても拘束力を有する。いずれの一方の当事者も人民法院に訴えを提出してはならず、その他のいかなる機関に対しても仲裁判断を変更する旨の請求を提出することができない。
第五十条 部分的判断
(一)仲裁廷が必要であると認める場合、又は当事者の請求に基づき仲裁廷が同意を得た場合、仲裁廷は、最終判断をする前に、当事者の特定の請求事項について部分的判断をすることができる。部分的判断は終局的なものであり、双方の当事者のいずれに対しても拘束力を有する。
(二)一方の当事者が部分的判断を履行しないことは、仲裁手続の進行に影響を及ぼさず、仲裁廷が最終判断をすることにも影響を及ぼさない。
第五十一条 仲裁判断書の草案の閲読?審査
仲裁廷は、仲裁判断書に署名をする前に、仲裁判断書の草案を仲裁委員会に提出して閲読?審査を受けなければならない。仲裁廷による独立した判断に影響を及ぼさない場合には、仲裁委員会は、判断書に関係する問題につき、仲裁廷の注意を喚起することができる。
第五十二条 費用負担
(一)仲裁廷は、仲裁判断書において、当事者が最終的に仲裁委員会に対して支払うべき仲裁費用及びその他の費用を決定する権限を有する。
(二)仲裁廷は、事件の具体的な状況に基づき、仲裁判断書において、勝訴側が事件処理のために支出した合理的な費用を敗訴者側が補償するよう決定する権限を有する。仲裁廷は、勝訴側が事件処理のために支出したかかる費用を敗訴側に補償させることが合理か否かを決定する場合には、事件の判断結果、複雑性の程度、勝訴側当事者及び/又は代理人の実際の業務量及び事件の紛争金額等の要素を、具体的に考慮しなければならない。
第五十三条 仲裁判断書の訂正
(一)仲裁廷は、判断書を送付した後の合理的な時間内において、判断書の中の記入、印刷、計算上の誤り又はその他の類似した誤りにつき、自ら書面により訂正することができる。
(二)いずれの一方の当事者も、判断書を受領した後 30 日以内に、判断書の中の記入、印刷、計算上の誤り又はその他の類似した誤りにつき、仲裁廷に対して、書面により訂正の申立てをすることができる。確かに誤りがある場合、仲裁廷は、書面による申立てを受領した後 30 日以内に、書面により訂正をしなければならない。
(三)上記の書面による訂正は仲裁判断書の一部を構成し、かかる訂正については、本規則の第四十九条第(四)項ないし第(九)項の規定を適用しなければならない。
第五十四条 追加的判断
(一)仲裁判断書において判断事項の脱漏がある場合、仲裁廷は、仲裁判断書を送付した後の合理的な時間内において、自ら追加的判断をすることができる。
(二)いずれの一方の当事者も、仲裁判断書を受領した後 30 日以内に、仲裁廷に対し、仲裁判断書において脱漏した事項について追加的判断をすることを書面により申し立てることができる。確かに判断事項の脱漏がある場合、仲裁廷は、上記の書面による申立てを受領した後 30 日以内に追加的判断をしなければならない。
(三)当該追加的判断は仲裁判断書の一部を構成し、かかる追加的判断については本規則の第四十九条第(四)項ないし第(九)項の規定を適用しなければならない。
第五十五条 仲裁判断の履行
(一)当事者は、仲裁判断書に明記された期限に従って、仲裁判断を履行しなければならない。仲裁判断書に履行期限が明記されていない場合は、直ちに仲裁判断を履行しなければならない。
(二)一方の当事者が判断を履行しない場合、他方の当事者は、法の規定に基づき、管轄権を有する人民法院に執行の申立てをすることができる。
第四章 簡易手続
第五十六条 簡易手続の適用
(一)当事者に別段の約束がある場合を除き、紛争金額が 500 万人民元を超えない場合、又は紛争金額が 500 万元を超える事件であっても、一方の当事者が書面により申立てをし、かつ他方の当事者の書面による同意を得た場合は、又は双方の当事者が簡易手続を適用すると約束した場合、簡易手続を適用する。
(二)紛争金額がない場合、又は紛争金額が明確でない場合、仲裁委員会は、事件の複雑性の程度、及び請求にかかる利益の大小、その他の関連する要素を総合的に考慮し、簡易手続を適用するか否かを決定する。
第五十七条 仲裁通知
申立人が仲裁の申立てを行い、審査を経て、受理及びす簡易手続を適用できる場合、仲裁委員会仲裁院は、双方の当事者に仲裁通知を発送しなければならない。
第五十八条 仲裁廷の構成
当事者に別段の約束がある場合を除き、簡易手続が適用される事件においては、本規則の第二十八条の規定に従い、単独仲裁庭を設置して事件を審理する。
第五十九条 答弁及び反対請求
(一)被申立人は、仲裁通知を受領した後 20 日以内に、答弁書及び証拠資料、その他の証明文書を提出しなければならない。反対請求がある場合、当該期限内に反対請求の申立書及び証拠資料、その他の証明文書も提出しなければならない。
(二)申立人は、反対請求の申立書及びその付属文書を受領した後 20 日以内に、被申立人の反対請求に対する答弁を提出しなければならない。
(三)上記の期間を延長する旨の申立てを行う正当な理由が当事者に確かに存在する場合、延長するか否かは仲裁廷が決定する。仲裁廷構成前においては、仲裁委員会仲裁院が決定する。
第六十条 審理の方式
仲裁廷は、適当と認める方式に従い、事件を審理することができる。当事者の意見を求めた後、当事者が提出した書面資料及び証拠のみに基づき書面により審理することを決定することができ、又は開廷審理を行うことも決定することができる。
第六十一条 開廷通知
(一)開廷審理を行う事件において、仲裁廷は、第 1 回の開廷期日を確定した後、開廷の 15 日前までに開廷期日を双方の当事者に通知しなければならない。正当な理由がある場合、当事者は、開廷の延期を請求することができる。ただし、開廷通知を受領した後 3 日以内に書面により延期の申立てをしなければならない。延期をするか否かについては、仲裁廷が決定する。
(二)上記の第(一)項に規定する期間に従って開廷の延期請求を提出することができない正当な理由が当事者に確実にある場合、その延期の請求を受理するか否かは、仲裁廷が決定する。
(三)再開廷審理期日及び延期後の開廷審理期日の通知及びその延期の申立てについては、上記の第(一)項の中の期限の制限を受けない。
第六十二条 仲裁判断をする期限
(一)仲裁廷は、その構成後 3 ヶ月以内に判断書を作成しなければならない。
(二)仲裁廷の請求により、仲裁委員会仲裁院院長が、正当な理由及び必要性が確かに存在すると認める場合、当該期限を延長することができる。
(三)手続停止の期間は上記の第(一)項に規定する判断期限に算入しない。
第六十三条 手続の変更
仲裁請求の変更又は反対請求の提出は、簡易手続の続行に影響を及ぼさない。変更後の仲裁請求又は反対請求がかかわる紛争金額がそれぞれ 500 万人民元を超える場合、当事者に別段の約束がある場合、又は仲裁廷が通常の手続に変更する必要があると認める場合を除き、簡易手続を継続して適用する。
第六十四条 本規則のその他の条項の適用
本章に規定されていない事項については、本規則のその他の各章の関連規定を適用する。
第五章 国内仲裁の特別規定
第六十五条 本章の適用
(一)国内仲裁事件には、本章の規定を適用する。
(二)本規則の第五十六条の規定に適合する国内仲裁事件には、第四章の簡易手続の規定を適用する。
第六十六条 事件の受理
(一)仲裁申立書を受領した後、仲裁申立てが本規則の第十二条に規定する受理の条件に合致すると認める場合、仲裁委員会仲裁院は、5 日以内に当事者に通知しなければならない。受理の条件に合致しないと認める場合は、当事者に対し、受理できないことを書面により通知し、かつ理由を説明しなければならない。
(二)仲裁申立書を受領した後、仲裁委員会仲裁院は、その審査により仲裁の申立ての手続が本規則の第十二条の規定に合致しないと認める場合、当事者に対して、所定の期間内に完全するよう要求することができる。
第六十七条 仲裁廷の構成
仲裁廷は、本規則の第二十五条、第二十六条、第二十七条、第二十八条、第二十九条及び第三十条の規定に従って構成されなければならない。
第六十八条 答弁及び反対請求
(一)被申立人は、仲裁通知を受領した後 20 日以内に、答弁書及び根拠となる証拠資料、その他の証明文書を提出しなければならない。反対請求がある場合にも、当該期限内に反対請求書及び根拠となる証拠資料、その他の証明文書を提出しなければならない。
(二)申立人は、反対請求書及びその付属文書を受領した後 20 日以内に、被申立人の反対請求に対して答弁を提出しなければならない。
(三)上記期間の延長を請求する正当な理由が当事者に確かにに存在する場合、延長するか否かは仲裁廷が決定する。仲裁廷が構成されていない場合に、仲裁委員会仲裁院が決定する。
第六十九条 開廷通知
(一)開廷審理を行う事件において、仲裁廷は、第 1 回の開廷期日を確定した後、開廷の 15 日前までに開廷期日を双方の当事者に通知しなければならない。正当な理由がある場合、当事者は開廷の延期を請求することができる。ただし、開廷通知を受領した後 3 日以内に書面により延期の請求を提出しなければならない。延期をするか否かは、仲裁廷が決定する。
(二)上記の第(一)項に規定する期限に従って当事者が開廷の延期請求を提出することができない正当な理由が確かに存在する場合、その延期の請求を受理するか否かは、仲裁廷が決定する。
(三)再開廷審理期日及び延期後の開廷審理期日の通知及びその延期申立ては、上記の第(一)項中の期限の制限を受けない。
第七十条 開廷審理の記録
(一)仲裁廷は、開廷の状況を記録しなければならない。当事者及びその他の仲裁関係者は、自身の陳述の記録に脱漏若しくは誤りがあると認める場合、その補正を申し立てることができる。仲裁廷がその補正に同意しない場合、当該申立てを記録しなければならない。
(二)開廷審理の記録には、仲裁人、記録者、当事者及びその他の仲裁関係者が署名又は押印をする。
第七十一条 仲裁判断をする期限
(一)仲裁廷は、仲裁廷構成後 4 ヶ月以内に仲裁判断書を作成しなければならない。
(二)仲裁廷の請求により、仲裁委員会仲裁院院長は、正当な理由及び必要性が確かに存在すると認める場合、当該期限を延長することができる。
(三)手続停止の期間は上記の第(一)項に規定する判断期限に算入しない。
第七十二条 本規則のその他の条項の適用
本章に規定されていない事項については、本規則のその他の各章の関連規定を適用する。本規則の第六章の規定はこの限りではない。
第六章 香港仲裁の特別規定
第七十三条 本章の適用
(一)仲裁委員会は香港特別行政区に仲裁委員会香港仲裁センターを設置する。本章は仲裁委員会香港仲裁センターが仲裁申立てを受理し、かつ管理する仲裁事件に適用する。
(二)当事者が紛争を仲裁委員会香港仲裁センターによる仲裁に付託する旨の約束をした場合、又は紛争を仲裁委員会の香港における仲裁に付託することを約束した場合、仲裁委員会香港仲裁センターが仲裁申立てを受理し、かつ事件を管理する。
第七十四条 仲裁地及び手続の準拠法
当事者間に別段の約束がある場合を除き、仲裁委員会香港仲裁センターが管理する事件の仲裁地を香港とし、仲裁手続の準拠法を香港仲裁法とし、仲裁判断を香港判断とする。
第七十五条 管轄権の決定
仲裁合意及び/又は仲裁事件の管轄権に関する当事者からの異議は、本案についての最初の実質的答弁前に提出されなければならない。
仲裁廷は、仲裁合意の存在、効力及び仲裁事件の管轄権につき決定する権限を有する。
第七十六条 仲裁人の選任又は指定
仲裁委員会現行の仲裁人名簿は仲裁委員会香港仲裁センターが管理する事件で使用することが推薦される。当事者は仲裁委員会仲裁人名簿以外から仲裁人を選任することができる。選任された仲裁人について、仲裁委員会主任が確認しなければならない。
第七十七条 暫定措置及び緊急的救済
(一)当事者間に別段の約束がある場合を除き、一方の当事者の申立てにより、仲裁廷は適当と認める暫定措置を取ることを決定する権限を有する。
(二)仲裁廷の構成前においては、当事者は「中国国際経済貿易仲裁委員会緊急仲裁人手続」(本規則付録三)に従い、緊急的暫定救済を申し立てることができる。
第七十八条 仲裁判断書の印章
仲裁判断書には「中国国際経済貿易仲裁委員会香港仲裁センター」の印章を押捺しなければならない。
第七十九条 仲裁費用
本章により申立てを受理し、かつ管理する事件は「中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(三)」(本規則付録二)を適用する。
第八十条 本規則のその他の条項の適用
本章に規定されていない事項については、本規則のその他の各章の関連規定を適用する。本規則の第五章の規定はこの限りではない。
第七章 附則
第八十一条 仲裁言語
(一)当事者が仲裁言語の約束がある場合は、当該約束に従う。当事者が仲裁言語の約束がない場合、中国語を仲裁言語とする。仲裁委員会は、事件の具体的な状況に鑑みてその他の言語を仲裁言語として確定することもできる。
(二)仲裁廷が開廷審理を行う際、当事者又は代理人、証人が通訳を必要とする場合、仲裁委員会仲裁院が通訳者を提供することができ、当事者が自らも通訳者を提供することもできる。
(三)当事者が提出する各種文書及び証明資料につき、仲裁廷又は仲裁委員会仲裁院は必要であると認める場合には、当事者に対して、相応する中国語の翻訳文書又はその他の言語の翻訳文書を提供することを要求することができる。
第八十二条 仲裁費用及び実費
(一)仲裁委員会は、制定した仲裁費用表に従って、当事者から仲裁費用を収受するほか、その他の追加の合理的な実費を当事者から収受することができる。当該実費には、仲裁人の事件処理に対する特別の報酬、出張旅費、食費及び宿泊費、速記者を招聘して速記させる費用、並びに仲裁廷が招聘した専門家、鑑定人及び通訳などの費用が含まれる。仲裁人の特別報酬は、仲裁委員会仲裁院が関連する仲裁人と当事者の意見を求めた後、「中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(三)」(本規則付録二)の仲裁人報酬及び費用に関する基準を参照して確定する。
(二)当事者は、仲裁委員会の定めた期間内に、自ら選任した仲裁人に特別の報酬、出張旅費、食費及び宿泊費などの実費を予納しない場合、仲裁人を選任しなかったものとみなす。
(三)当事者は、仲裁委員会又はその分会/仲裁センターの所在地以外の場所で開廷することに約束した場合、それによって生ずる出張旅費、食費及び宿泊費などの実費を予納しなけばならない。当事者が、仲裁委員会の定めた期間内に関連する実費を予納しない場合、仲裁委員会又はその分会/仲裁センターの所在地で開廷しなければならない。
(四)当事者が、2書類以上(2書類を含む)の言語を仲裁言語とすることを約束した場合、又は本規則の第五十六条の規定に基づき簡易手続が適用される事件において 3 名の仲裁廷により審理することに当事者が約束をした場合、仲裁委員会は、追加の合理的な費用を当事者から収受することができる。
第八十三条 規則の解釈
(一)本規則の条文の標題は、条文の意味の解釈に用いられない。
(二)本規則の解釈は、仲裁委員会が責任を行う。
第八十四条 規則の施行
本規則は、2015 年 1 月 1 日から施行する。本規則の施行前に仲裁委員会及びその分会/仲裁センターが管理した事件については、事件を受理した時点に適用される仲裁規則を適用するが、双方の当事者が同意する場合は、本規則を適用することもできる。
付録一
中国国際経済貿易仲裁委員会及びその分会/仲裁センター名簿
中国国際経済貿易仲裁委員会
所在地:北京市西城区樺皮厂胡同2号国際商会大厦6F
郵便番号:100035
TEL(代表):010-82217788
FAX:010-82217766/010-64643500
電子メール:info@cietac.org
中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会
所在地:深圳市福田区金田路4018号安联大厦14A01
郵便番号:518026
TEL:0755-82796739
FAX:0755-23964130
電子メール:infosz@cietac.org
中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会
所在地:上海市浦東新区東方路710号汤臣金融大厦18 F
郵便番号:200122
TEL:021-60137688
FAX:021-60137689
電子メール:infosh@cietac.org
中国国際経済貿易仲裁委員会天津国際経済金融仲裁センター(天津分会)
所在地:天津経済技術開発区广场東路20号金融街東区E2-ABC-4 F
郵便番号:300457
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中国国際経済貿易仲裁委員会西南分会
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中国国際経済貿易仲裁委員会香港仲裁センター
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TEL:852-25298066
FAX:852-25298266
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付録二
中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(一)
本費用表は本仲裁規則第三条第(二)項の第1項及び第2項に規定される仲裁事件に適用される
紛争金額(人民元) |
仲裁費用(人民元) |
1,000,000元以下 |
紛争金額の4%,最低は10,000元を下回らない |
1,000,001元から2,000,000元まで |
40,000元+紛争金額の1,000,000元を超えた部分の3.5% |
2,000,001元から5,000,000元まで |
75,000元+紛争金額の2,000,000元を超えた部分の2.5% |
5,000,001元から10,000,000元まで |
150,000元+紛争金額の5,000,000元を超えた部分の1.5% |
10,000,001元から50,000,000元まで |
225,000元+紛争金額の10,000,000元を超えた部分の1% |
50,000,001元から100,000,000元まで |
625,000元+紛争金額の50,000,000元を超えた部分の0.5% |
100,000,001元から500,000,000元まで |
875,000元+紛争金額の100,000,000元を超えた部分の0.48% |
500,000,001元から1,000,000,000元まで |
2,795,000元+紛争金額の500,000,000元を超えた部分の0.47% |
1,000,000,001元から2,000,000,000元まで |
5,145,000元+紛争金額の1,000,000,000元を超えた部分の0.46% |
2,000,000,001元以上 |
9,745,000元+紛争金額の2,000,000,000元を超えた部分の0.45%,最高は15,000,000元を上回らない |
中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(二)
本費用表は本仲裁規則第三条第(二)項第3項に規定される仲裁事件に適用される
一、事件の受理費用の収受方法
紛争金額(人民元) |
事件の受理费(人民元) |
1,000元以下 |
最低は100元を下回らない |
1,001元から50,000元まで |
100元+紛争金額の1,000元 を超えた部分の5% |
50,001元から100,000元まで |
2,550元+紛争金額の50,000元を超えた部分の4% |
100,001元から200,000元まで |
4,550元+紛争金額の100,000元を超えた部分の3% |
200,001元から500,000元まで |
7,550元+紛争金額の200,000元を超えた部分の2% |
500,001元から1,000,000元まで |
13,550元+紛争金額の500,000元を超えた部分の1% |
1,000,001元以上 |
18,550元+紛争金額の1,000,000元を超えた部分の0.5% |
二、事件の処理費用の収受方法
紛争金額(人民元) |
事件の処理费(人民元) |
200,000元以下 |
最低は6,000元を下回らない |
200,001元から500,000元まで |
6,000元+紛争金額の20万元を超えた部分の2% |
500,001元から1,000,000元まで |
12,000元+紛争金額の50万元を超えた部分の1.5% |
1,000,001元から2,000,000元まで |
19,500元+紛争金額の100万元を超えた部分の0.5% |
2,000,001元から5,000,000元まで |
24,500元+紛争金額の200万元を超えた部分の0.45% |
5,000,001元から10,000,000元まで |
38,000元+紛争金額の500万元を超えた部分の0.4% |
10,000,001元から20,000,000元まで |
58,000元+紛争金額の1,000万元を超えた部分の0.3% |
20,000,001元から40,000,000元まで |
88,000元+紛争金額の2,000万元を超えた部分の0.2% |
40,000,001元から100,000,000元まで |
128,000元+紛争金額の4,000万元を超えた部分の0.15% |
100,000,001元から500,000,000元まで |
218,000元+紛争金額の10,000万元を超えた部分の0.13% |
500,000,001元以上 |
738,000元+紛争金額の50,000万元を超えた部分の0.12% |
中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(三)
本費用表は本仲裁規則第六章に規定される仲裁委員会香港仲裁センターが管理する仲裁事件に適用される。
一、事件の受理費
申立人は仲裁委員会香港仲裁センターに仲裁申立を提出する際に、仲裁申立の審査、事件登録、コンピュータプログラムの使用、ファイル保管及び人工費用に使われる事件の受理費として、香港ドル8000元を同時に支払わなければならない。事件の受理費は返還しない。
二、機関管理費
1、機関管理費用表
紛争金額(香港ドル) |
機関管理費(香港ドル) |
500,000元以下 |
16,000元 |
500,001 元から 1,000,000元まで |
16,000元+紛争金額の500,000元を超えた部分の0.78% |
1,000,001元から 5,000,000元まで |
19,900元+紛争金額の1,000,000元を超えた部分の0.65% |
5,000,001元から 10,000,000元まで |
45,900元+紛争金額の5,000,000元を超えた部分の0.38% |
10,000,001元から 20,000,000元まで |
64,900元+紛争金額の10,000,000元を超えた部分の0.22% |
20,000,001元から 40,000,000元まで |
86,900元+紛争金額の20,000,000元を超えた部分の0.15% |
40,000,001元から 80,000,000元まで |
116,900元+紛争金額の40,000,000元を超えた部分の0.08% |
80,000,001元から 200,000,000元まで |
148,900元+紛争金額の80,000,000元を超えた部分の0.052% |
200,000,001元から 400,000,000元まで |
211,300元+紛争金額の200,000,000元を超えた部分の0.04% |
400,000,001元以上 |
291,300元 |
2、機関管理費には事件秘書の作業報酬及び仲裁委員会及びその分会/仲裁センターの開廷室を使用するための費用が含まれる。
3、紛争金額を確定する際に、仲裁の請求と反対請求の金額を併合して計算する。紛争金額が確定できない又は特別な状況がある場合、仲裁委員会が事件の具体的な状況に相応する機関管理費を確定する。
4、機関管理費用表に従って機関管理費を収受する以外に、仲裁委員会香港仲裁センターは「仲裁規則」の関連規定に従って別途的、且つ合理的な実費を収受することができる。当該実費には翻訳、記録の費用及び仲裁委員会及びその分会/仲裁センター以外の開廷室での開廷により生ずる会場費用が含まれるが、これらに限られない。
5、収受される事件の受理費、機関管理費が香港ドルではない場合、仲裁委員会香港仲裁センターは機関管理費用表の規定に従って香港ドルと価値が等しい金額の外貨を収受する。
三、仲裁人報酬及び費用
(一)仲裁人報酬及び費用(紛争金額に基づくもの)
1、仲裁人報酬表
紛争金額 |
仲裁人報酬(仲裁人ずつ 香港ドル) |
|
(香港ドル) |
最低 |
最高 |
500,000元以下 |
15,000元 |
60,000元 |
500,001 元から 1,000,000元まで |
15,000元+紛争金額の500,000元 |
60,000元+紛争金額の500,000元 |
1,000,001元から 5,000,000元まで |
26,500元+紛争金額の1,000,000元 |
102,500元+紛争金額の1,000,000元を超えた部分の4.3% |
5,000,001元から 10,000,000元まで |
58,500元+紛争金額の5,000,000元 |
274,500元+紛争金額の5,000,000元を超えた部分の2.30% |
10,000,001元から 20,000,000元まで |
88,500元+紛争金額の10,000,000元を超えた部分の0.35% |
389,500元+紛争金額の10,000,000元を超えた部分の1.00% |
20,000,001元から 40,000,000元まで |
123,500元+紛争金額の20,000,000元を超えた部分の0.20% |
489,500元+紛争金額の20,000,000元を超えた部分の0.65% |
40,000,001元から 80,000,000元まで |
163,500元+紛争金額の40,000,000元を超えた部分の0.07% |
619,500元+紛争金額の40,000,000元を超えた部分の0.35% |
80,000,001元から 200,000,000元まで |
191,500元+紛争金額の80,000,000元を超えた部分の0.05% |
759,500元+紛争金額の80,000,000元を超えた部分の0.25% |
200,000,001元から 400,000,000元まで |
251,500元+紛争金額の200,000,000元を超えた部分の0.03% |
1,059,500元+紛争金額の200,000,000元を超えた部分の0.15% |
400,000,001元から 600,000,000元まで |
311,500元+紛争金額の400,000,000元を超えた部分の0.02% |
1,359,500元+紛争金額の400,000,000元を超えた部分の0.12% |
600,000,001元から 750,000,000元まで |
351,500元+紛争金額の600,000,000元を超えた部分の0.01% |
1,599,500元+紛争金額の600,000,000元を超えた部分の0.10% |
750,000,001元以上 |
366,500元+紛争金額の750,000,000元を超えた部分の0.008% |
1,749,500元+紛争金額の750,000,000元を超えた部分の0.06% |
2、本費用表に別段の規定がある場合を除き、仲裁人の報酬は、仲裁委員会が事件の具体的な状況に相応して上の表に従い収受するものとする。仲裁人の費用には仲裁人が仲裁活動に従事する際に生じた全ての合理的な実費が含まれる。
3、全当事者が書面により同意を得た場合又は仲裁委員会が特別な状況において決定した場合は、仲裁人の報酬は本仲裁人報酬表の最高額を上回ることができる。
4、当事者は仲裁委員会香港仲裁センターに仲裁委員会が確定した仲裁人報酬及び費用を予納しなければならない。仲裁委員会香港仲裁センターの同意を得て、当事者は仲裁人への報酬及び費用を適当な比例に分割支払うことができる。各当事者は仲裁人に報酬及び費用を支払うことに対して連帯責任を負う。
5、紛争金額を確定する際に、仲裁の請求と反対請求の金額を併合して計算する。紛争金額が確定できない又は特別な状況がある場合は、仲裁委員会が事件の具体的な状況に相応する仲裁人報酬を確定する。
(二)仲裁人報酬及び費用(時間給率に基づくもの)
1、各当事者が書面により仲裁人報酬及び費用を時間給率に基づいて収受すると約束した場合は、その約束に従う。仲裁人は仲裁に付託する全ての合理的な仕事に対して、時間給率に基づいて計算された報酬を獲得する。仲裁人の費用には仲裁人が仲裁活動に従事する際に生じた全ての合理的な実費が含まれる。
2、当事者が緊急仲裁人手続を採用すると申し立てた場合は、緊急仲裁人の報酬は時間給率に基づいて収受する。
3、一方当事者が選任した仲裁人について、その時間給率は当該当事者と選任された仲裁人が相談して確定する。単独仲裁人及び首席仲裁人の時間給率は当該仲裁人と各当事者が相談して確定する。仲裁人の時間給率が確定できない場合は、又は仲裁人が仲裁委員会主任により指定された場合は、当該仲裁人の時間給率は仲裁委員会が確定する。緊急仲裁人の時間給率は仲裁委員会が確定する。
4、最終的に確定された仲裁人の時間給率は、仲裁委員会が設定して仲裁申立の提出日に仲裁委員会香港仲裁センターホームページで公表した時間給率の上限を上回ることはできない。全当事者が書面により同意を得た場合又は仲裁委員会が特別な状況において決定した場合は、仲裁人の報酬は確定された時間給率の上限を上回ることができる。
5、当事者は仲裁委員会香港仲裁センターに仲裁人報酬及び費用を予納しなければならない。予納される報酬及び費用の限度額は仲裁委員会香港仲裁センターが決定する。各当事者は仲裁人に報酬及び費用を支払うことに対して連帯責任を負う。
(三)その他の事項
1、当事者が仲裁人の報酬及び払うべき費用の決済を確保ため、仲裁委員会香港仲裁センターは仲裁廷の決定により仲裁判断を留置する権限を有する。共同又はいずれの一方の当事者が上述の報酬及び費用全額を支払った後、仲裁委員会香港仲裁センターは仲裁廷の決定により仲裁判断を当事者に送付する。
2、収受した仲裁人の報酬及び費用が香港ドルではない場合、仲裁委員会香港仲裁センターは本費用表の規定に従い香港ドルと等しい価値の外貨を収受する。
付録三
中国国際経済貿易仲裁委員会
緊急仲裁人手続
第一条 緊急仲裁人手続の申立
(一)当事者が緊急的臨時救済を必要とする場合、準拠法又は双方の当事者の約束に基づき緊急仲裁人手続きを申し立てることができる。
(二)緊急仲裁人手続きを申し立てる当事者(以下“申立人”と略する)は仲裁廷の構成前に、事件を管理する仲裁委員会仲裁院又はその分会/仲裁センター仲裁院に緊急仲裁人手続申立書を提出しなければならない。
(三)緊急仲裁人手続申立書は以下の内容を含めなければならないです。
1、関連する当事者の名称及び基本情報。
2、申立を引き起こす基本争議及び緊急的臨時救済を申し立てる理由。
3、申し立ての緊急的臨時救済の措置及び緊急救済を獲得できる理由。
4、緊急的臨時救済を申し立てる際に必要の他の情報。
5、緊急仲裁人手続に法律及び言語を適用する意見。
申立人は申立書を提出する際、申立の根拠となる証拠材料及びその他の証明文書を添付しなければならない。仲裁合意及び基本争議を引き起こす関連合意が含まれるが、これらに限られない。
申立書及び証拠材料等の書類は一式を3部提出しなければならない。多数当事者が関与する事件の場合、それに相応する部数を追加しなければならない。
(四)申立人は緊急仲裁人手続きの費用を予納しなけばならない。
(五)当事者が仲裁言語を約束した場合、緊急仲裁人手続の言語は当事者が約束した仲裁言語を使わなければならない。当事者が約束しなかった場合、仲裁委員会仲裁院が適用される手続言語を確定する。
第二条 申立の受理及び緊急仲裁人の指定
(一)申立人から提出した申立書、仲裁合意及び関連証拠により、仲裁委員会仲裁院は緊急仲裁人手続きを適用するか否かを初歩審査して決定する。緊急仲裁人手続を適用すると決定した場合、仲裁委員会仲裁院院長は、申立書及び申立人の予納した緊急仲裁人手続費用を受領した後1日以内に緊急仲裁人を指定しなければならない。
(二)仲裁委員会仲裁院院長が緊急仲裁人を指定した後、仲裁委員会仲裁院が受理通知及び申立人の申立材料を指定された緊急仲裁人及び緊急的臨時救済措置の被申立人に一括して送付し、同時に受理通知の写しを他の当事者及び仲裁委員会主任に送付しなければならない。
第三条 緊急仲裁人の開示及び忌避
(一)緊急仲裁人はどの当事者でも代表せず、各当事者から独立し、各当事者を平等的に扱わなければならない。
(二)緊急仲裁人は指定を受けるとともに、声明書に署名し、仲裁委員会仲裁院にその公正性及び独立性に合理的疑いを起こす可能性のあるすべての事実又は状況を開示しなければならない。緊急仲裁人手続中に他の開示すべき状況がある場合、緊急仲裁人は直ちに書面により開示しなければならない。
(三)緊急仲裁人の声明書及び/又は開示する情報は仲裁委員会仲裁院より各当事者に転送する。
(四)当事者は、緊急仲裁人の声明書及び/又は書面開示を受領した後、緊急仲裁人が開示した事実又は状況を理由として当該仲裁人の忌避を要求する場合、緊急仲裁人の書面開示を受領した後 2 日以内に、書面により申し立てなければならない。期間を過ぎて忌避申立てをしない場合、緊急仲裁人が既に開示した事由により、当該仲裁人の忌避の申立てをすることができない。
(五)当事者は指定された緊急仲裁人の公正性及び独立性に合理的疑いがある場合、書面により当該仲裁人の忌避を要求する申立てをすることができる。ただし、忌避申立ての根拠となる具体的な事実及び理由を説明し、かつ挙証しなければならない。
(六)緊急仲裁人に対する忌避申立ては、受理の通知を受領した後 2日以内に、書面により提出しなければならない。この期間を過ぎた後に、忌避事由があることを知った場合は、忌避事由を知った後 2 日以内に申し立てることができる。ただし、仲裁廷の構成より遅れることはできない。
(七)緊急仲裁人は忌避するか否かは、仲裁委員会仲裁院院長が決定する。緊急仲裁人が忌避することを決定する場合、仲裁委員会仲裁院院長は忌避決定を出した後1日以内に緊急仲裁人を再度指定し、仲裁委員会主任に決定の写しを送付しなければならない。緊急仲裁人を忌避するか否かを決定する前は、忌避申立てをされた緊急仲裁人は、職責を引き続き履行しなければならない。
開示及び忌避の手続きは再度指定された緊急仲裁人にも適用される。
(八)当事者に別段の約束がある場合を除き、緊急仲裁人は関与する事件の仲裁廷の構成員に選任又は指定されることができない。
第四条 緊急仲裁人手続の所在地
当事者に別段の約束がある場合を除き、事件仲裁地は緊急仲裁人手続の所在地となる。事件仲裁地を確定することは本仲裁規則第七条の規定を適用する。
第五条 緊急仲裁人手続
(一)緊急仲裁人は、できるだけ、指定された後2日以内に、緊急仲裁人手続きの事項手配を作成する。緊急仲裁人は緊急救済のタイプ及び緊迫性に合わせ、合理的な方式により関連手続きを行い、かつ関連当事者に合理的な陳述機会を与えることを確保する。
(二)緊急仲裁人は救済を実施する前提条件として、緊急救済の申立人が適当な担保を提供することを要求することができる。
(三)緊急仲裁人の権力及び緊急仲裁人手続は仲裁廷構成日までとする。
(四)緊急仲裁人手続きは、当事者が準拠法に基づき管轄権を有する仲裁院に緊急措置を請求する権利に影響を及ぼさない。
第六条 緊急仲裁人の決定
(一)緊急仲裁人は必要な緊急的臨時救済の決定を下す権利を有し、その決定が合法的で有効なものであるように合理的な努力をしなければならない。
(二)緊急仲裁人決定は緊急仲裁人の指定後15日以内に下されなければならない。緊急仲裁人は決定期限を延長する請求を出した場合、仲裁委員会仲裁院院長は合理的な状況があると認めた場合のみ許可する。
(三)緊急仲裁人の決定には緊急救済措置を実施する理由を明記し、かつ緊急仲裁人が署名をし、仲裁委員会仲裁院又は分会/仲裁センター仲裁院が捺印する。
(四)緊急仲裁人の決定は双方の当事者に拘束力がある。当事者は執行地国家又は地区の関連法律により、管轄権を有する仲裁院に強制執行を申し立てることができる。当事者は請求を提出して事由を説明した場合、緊急仲裁人又は構成後の仲裁廷は緊急仲裁人の決定を変更、中止又は終止する権限を有する。
(五)緊急仲裁人は緊急的臨時救済措置を実施する必要がないと判断した場合、又は別の事由により、緊急的臨時救済措置を実施できない場合、申立人の申し立てを却下し、かつ緊急仲裁人手続きを中止することを決定することができる。
(六)緊急仲裁人の決定は以下の状況において効力を生じない。
1、緊急仲裁人又は仲裁廷が緊急仲裁人の決定を中止した場合
2、仲裁委員会仲裁院院長が緊急仲裁人の忌避決定を出した場合
3、仲裁廷は最終判断を出した場合。裁廷が緊急仲裁人の決定の効力があると認めた場合を除く。
4、仲裁判断書を作成する前に、申立人がすべての仲裁請求を撤回した場合
5、仲裁廷が緊急仲裁人決定が出された後90日以内に構成できなかった場合。当該期限は当事者より延長を協議することができる。仲裁委員会仲裁院も適当であると認めた状況において、当該期限を延長することができる。
6、仲裁廷の構成後、仲裁手続きが60日間を中止された場合。
第七条 緊急仲裁人手続の費用を負担する
(一)申立人は緊急仲裁人手続の費用人民元30,000元を予納しなければならない。当該費用には緊急仲裁人の報酬及び仲裁委員会の管理費が含まれる。仲裁委員会仲裁院は申立人に別途合理的な実費を予納することを要求する権限を有する。
当事者は仲裁委員会香港仲裁センターに緊急的臨時救済を申し立てる場合、「中国国際経済貿易仲裁委員会仲裁費用表(三)」(仲裁規則付録二)の規定に従い、緊急仲裁人手続きの費用を予納する。
(二)各当事者が負担すべき緊急仲裁人手続き費用の比例は、緊急仲裁人が決定に一括して出す。ただし、仲裁廷が一方の当事者の請求により、費用分担について最終決定をすることに影響を及ぼさない。
(三)緊急仲裁人手続は決定が出された前に中止となった場合、仲裁委員会仲裁院が申立人に返却する緊急仲裁人手続きの費用総額を決定する権限を有する。
第八条 その他
仲裁委員会は本緊急仲裁人手続に解釈権を有する。